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米国事業、「多少の黒字」で妥協していませんか?

ブログ No.7

米国事業、「多少の黒字」で妥協していませんか?

米国事業が黒字になった。これは大きな成果です。ここまで来るには、現地スタッフの採用、顧客開拓、本社との調整と、相当な労力がかかっているはずです。

ただ、私が30年近く米国で営業に携わってきて感じるのは、「多少の黒字」で止まっている日系企業が少なくないということです。赤字ではない。だから大きな問題は起きていない。しかし、それは同時に「次の一手を考える理由」も消えている状態です。

今ある土台は、実は飛躍の準備ができているかもしれません。もう少し探求し、軌道修正を加えるだけで、成果が大きく変わることがあります。

1. 「黒字=合格」という物差しで止まっている

本社への報告では、黒字かどうかが分かりやすい基準になります。しかし、黒字の幅と、その市場で取れたはずの成果とは別の話です。

✅ 対処法:「黒字か赤字か」に加え、「この市場で本来どこまで取れるのか」を問い直す。目標を、現状の延長ではなく、市場規模と競合の動きから逆算して置き直します。

2. 市場の天井を確かめていない

米国は市場が大きく、地域・業界・顧客層によって状況がまったく異なります。今の顧客層や営業エリアが、実は市場のごく一部にすぎないこともあります。

✅ 対処法:現在の売上構成(業界・地域・顧客規模)を整理し、「まだ触れていない領域」を洗い出す。探求の範囲を意図的に広げます。

3. 営業活動が、数字ではなく勘で動いている

商談がどう進み、どこで止まり、なぜ失注したのか。これが現地の担当者の頭の中だけにあると、改善の材料がありません。結果として、「いつものやり方」が続きます。

✅ 対処法:商談の進捗と失注理由を、誰が見ても分かる形で記録する。まず「可視化」が、軌道修正の出発点になります。

4. 営業活動に、AIを活用したツールを使っていますか?

可能性を広げる一例として、営業へのAI活用があります。たとえば次のような場面です。

  • 商談の録音・文字起こしと、要点の自動要約
  • 見込み客の事前リサーチの効率化
  • 商談後のフォローアップ文面の下書き
  • パイプライン全体の傾向の把握

AIは営業担当者の代わりをするものではありません。担当者が「人にしかできない仕事」=顧客との関係づくりに使える時間を増やす道具です。米国では、営業の現場でこうしたツールの導入が進んでおり、使っていないこと自体が、気づかないうちに差になっている可能性があります。

ただし、順番が大切です。AI営業戦略は、ツールを選ぶ前に、営業環境の全体を見直し、ボトルネックを把握したうえで立てるのが望ましいと考えています。どこで商談が止まっているのか、時間が何に取られているのか、情報がどこで途切れているのか。課題を把握しないまま導入すると、「使われないツール」が増えるだけになりかねません。

✅ 対処法:まず、現在の営業環境(顧客層・商談の流れ・体制・情報の共有)を一通り見直し、ボトルネックを特定する。そのうえで、最も効果が見込める一点にAIを当てて小さく試し、現地チームと一緒に定着させます。大規模な導入から始める必要はありません。

5. 軌道修正を、先送りにしている

「うまくいっていないわけではない」ことが、最大の先送りの理由です。しかし、黒字のうちに打つ手は、赤字になってから打つ手よりも、選択肢が広く、リスクも小さいものです。

✅ 対処法:余力のある今のうちに、小さな実験として軌道修正を始める。うまくいけば広げ、そうでなければ戻せる範囲で試します。

まとめ

米国事業が黒字であることは、立派な土台です。その土台を「ここまで」と区切るか、「ここから」と捉えるかで、数年後の姿は大きく変わります。まずは、今の営業活動がどこまで可視化されているか。そこから確認してみてはいかがでしょうか。